ムーア人の時計塔

3年がかりで建設され1499年に完成。大理石で作られた中世の天文時計。文字盤は1時から24時までローマ数字で描かれた24時間時計になっており、内部は機械仕掛け、5分毎に時を刻んでいる。500周年である1999年に行われた大規模な修復工事によって、現在は自動巻きになっているが、当時は13時間に1回ネジ巻きをする必要があった。そのため、時計塔内部にはこの時計設計に関わった家族が住み込み、時計を保守点検・管理していた。

時計塔で特に目を奪うのが青が美しいラピスラズリで装飾された黄道十二宮のレリーフ。1400年後期の作品で1757年に修復されている。注目すべきは長針でもある太陽の場所からその月の星座がわかるようになっていること。更に驚くのが文字盤の中央にある点と十二星座の間にある丸いボール。これは月を表しており、ボールは単独で自転しながら月の形を正しく表示するという芸の細かさ。これにより新月から満月までの月の満ち欠けがわかるようになっている。
これは、潮の満ち引きと密接な関係がある海上都市として、大潮になる満月と新月の時期を知るための指針の役割を果たしており、単なるデザインや娯楽目的ではない。

ちなみに、文字盤中央の点は地球を表しており、地球を中心に太陽や星が回っている構図。当時のヨーロッパは天動説を信じていた時代ということがよくわかる。

ムーア人の時計塔