シェンゲン協定加盟国での90日間の滞在について

シェンゲン協定はかなりのグレーゾーン - 2015年3月26日

「シェンゲン協定」とは何?

シェンゲン協定は加盟国における通行自由化と手続き簡素化、つまり、国境検査なしで自由に国境を行き来することができる協定です。

日本人の場合は、最初に入国するシェンゲン協定加盟国で入国審査があり(スタンプが押される)、最後に出国するシェンゲン協定加盟国で出国審査が行われます。つまり、シェンゲン協定加盟国内では最初と最後の国以外で行き来する多国間移動では一切出入国審査が無いということです。

尚、EUと混同されがちですが、EU加盟国=シェンゲン加盟国ではありません。
実際、EU加盟国の中にシェンゲンに加盟していない国があります。

シェンゲン協定加盟国 一覧

オーストリア、ベルギー、デンマーク、チェコ、エストニア、フィンランド、フランス、ドイツ、ギリシャ、ハンガリー、アイスランド、イタリア、ラトビア、リトアニア、ルクセンブルク、マルタ、オランダ、ノルウェー、ポーランド、ポルトガル、スロバキア、スロベニア、スペイン、スウェーデン、スイス、リヒテンシュタイン。

2017年1月現在


「シェンゲン協定加盟国内での他国間移動でもパスポートは必要」

勘違いしてはいけないのは「シェンゲン協定加盟国内での多国間移動でもパスポートは必要」だということです。確かに、シェンゲン協定加盟国内であれば一切の出入国審査が無いのは事実ですが、それ以前に「私は日本人である」ことを証明する唯一の公的書面であり、外国人には「パスポート携帯義務」があるからです。

また、シェンゲン協定加盟国であるフランスからドイツに鉄道で入国した際に車内でパスポートチェックがあったという例が実際にあります。これは出入国に関する審査ではなく、警備や捜査などの理由でパスポートの提示を求められることがありますから、パスポート不所持の場合は携帯義務違反で拘束される可能性があるということです。「パスポートを盗まれたりしないか心配だからコピーを持ち歩く」という方もいるようですが、これは明らかに携帯義務違反。必ずパスポートは携帯しましょう。

その他、スイスへの入国の場合は税関検査のためパスポート提示を求められることがあります。スイスはシェンゲン協定加盟国なのでパスポート審査はありませんが、EU加盟国ではないので税関検査があるためです。EU加盟国間においては関税撤廃の取り組みのため税関検査も無いのですが、EU非加盟国への入国では原則、税関検査があります。

シェンゲン協定の規定


ビザ無しでの出入国に関しては下記のとおりです(2013年10月18日より実施)。

  • 過去180日間のうち90日を越す滞在は出来ない
  • 過去180日以内の滞在日数は全て短期滞在の期間として算入される
  • 滞在日数のカウントには、トランジットでの通過、帰国をはさむ複数回の訪問も含む

ちょっとわかりづらいかもしれませんね。例えばこんな感じです。
尚、わかりやすく説明をするために「1カ月間=30日」とします。


シェンゲン協定加盟国内での滞在可能日数
 
・Aの場合、
・Bの場合、6月〜7月の間で45日間滞在可能

上記の表で説明すると、シェンゲン協定加盟国に入国したのが1月・3月・5月で、この場合、6月は20日間滞在可能です。

シェンゲン協定加盟国を出たり入ったり繰り返すと滞在可能日数の計算は非常に面倒ですが、「180日間のうち滞在90日を越してはいけない」というルールはいたってシンプルで明確です。

例えば、シェンゲン協定加盟国への最初の入国から180日が経過すれば滞在数のカウントが0に戻るわけではなく、例えばシェンゲン協定加盟国に90日間滞在して出国した場合、その日から180日間一度もシェンゲン協定加盟国への渡航をしなかった場合に滞在数のカウントが0に戻るという仕組みです。

しかし、ヨーロッパを長期間旅行をしている方、特にバックパッカーや世界一周旅行者などが最も気になる出入国関連の話題と言えばシェンゲン協定の壁ですよね。その他、仕事などで短期間に何度かヨーロッパに滞在したけど、残りの滞在可能日数は何日あるんだろう?と計算される方もいらっしゃるでしょう。そこで、滞在可能日数を知るための便利なツールが下記Webサイトです。

シェンゲン加盟国内の滞在日数計算ツール


シェンゲン協定はかなりのグレーゾーン

かなり前置きが長くなりましたが、ここからが当コラムの本題です。

実はシェンゲン協定、かなりグレーゾーンな部分を含む協定なんです。というのも、とある在ヨーロッパ日本大使館の話しでは「シェンゲン協定に関して、多少のオーバーステイで過去に問題になったことはない」ということなんです。

つまり「多少のオーバーステイなら大丈夫! と公言はできないけど、問題になったことは無いよ。立場上これ以上のことは言えないから察してね^^」と聞こえなくもない・・・。う〜ん、これは結構アレなお話しですね・・・。

その理由というのは、シェンゲン協定とは別に、日本とヨーロッパ各国には二国間協定を結んでいることが関係しています。例えば、日本と大多数のヨーロッパ各国とは「90日以内の滞在ではビザ不要」という二国間協定を結んでいます。

そのため、とある大使館としての見解は「シェンゲン協定よりも二国間協定が優先」という認識があると。なるほど、その話しはごもっとも。

実際、オーストリアは日本との2国間協定で180日間滞在できることになっており、シェンゲン協定の枠を超えて最大180日間ビザなしで滞在することができます。例えば、シェンゲン協定国に90日滞在してからオーストリアに入国した場合、オーストリアには90日間滞在できることになります。

ということは、シェンゲン協定としてはシェンゲン協定加盟国での滞在日数が90日を超えてはいけないが、二国間協定では当該国で90日間の滞在が許可されているという矛盾が生じています。そのため、シェンゲン協定での90日を超えるオーバーステイに関してはかなりグレーゾーンであり、この矛盾を公に問題に出来ない事情が見え隠れしています。そりゃそうです。もしこれが公で問題視されれば、シェンゲン協定の条文を変えるか、日本との二国間協定を見直さなければいけない事態に発展します。

そんな矢先、日本外務省から下記のようなとても興味深い公式見解が平成25年7月17日に示されました。

我が国は、各シェンゲン領域国との間で、二国間のビザ免除措置に関する枠組みを有していますが、現在、シェンゲン領域における域外国国民の短期滞在に関する措置の状況は流動的であることから、シェンゲン領域を長期間訪問する予定のある方は、十分な注意が必要です。

シェンゲン領域を180日以内に90日を超えて訪問する方は、事前に、渡航予定国の措置に関する情報を各国の政府観光局や我が国に存在する各国の大使館に問い合わせて確認することをお勧めします。

外務省

なるほど、明言を上手く避けていますね(笑)。もっとも、他国の出入国管理について外務省が明言できるはずもないのですが、ますますグレーゾーンであることが伺える記述です・・・。

筆者には「我が国としてはシェンゲン協定よりも我が国との二国間協定を優先して欲しいが、我が国がシェンゲン協定にケチを付けることは出来ないし、他国の出入国管理に干渉することはできないから、全て自己責任でお願いね」と言ってるように聞こえます。
一応、念を押しておきますが、筆者にはそう聞こえただけです(笑)

ともかく、筆者から言えることは一つ。

二国間協定を盾に主張すれば、シェンゲン協定加盟国であっても90日を少し超える滞在(わずかなオーバーステイ)で問題になる事は無いかもしれない。でも、何かしらの罰則を受けるかもしれない(90日間の入国禁止や罰金などの事例あり)。

確実なのは、「入国日から過去180日間のうち90日を越さないよう滞在日数を調整」すれば何も問題はないということです^^


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コラム

シェンゲン協定加盟国での免税手続き

シェンゲン協定加盟国で購入して免税書類を作ってもらった場合、空港で免税手続きをすることになります。その手続きというのは免税書類に税関のスタンプを押してもい、返金方法など必要事項にちょこっと記入するだけです。

そのスタンプをどこでもらうか? ですが、最後に出国するシェンゲン協定加盟国の空港の税関でスタンプを押してもらう決まりになっています。

例えば、パリで買い物して免税書類を作り、その後イタリアに移動してイタリアでも買い物をして免税書類を作ってもらったとします。そして帰国の飛行機はローマから乗り、フランクフルトで乗り継ぎして日本に帰る場合、どこの空港で免税手続きをするかというと、パリで作った免税書類とローマで作った免税書類をまとめてフランクフルト空港の税関で行うということになります。

これがもし、ロンドンで乗り継ぎの場合はというと、ローマ空港の税関ということになります。何故なら、イギリスはシェンゲンに加盟していないからです。

ただ、飛行機の乗り継ぎが時間ギリギリで、免税手続きをする時間が無いことって珍しいことではありません。その場合は、乗り継ぎ空港ではなく、最初に飛行機に乗る空港の税関で乗り継ぎの搭乗券を見せて、時間が無いことを説明してお願いしてみて下さい。場合によってはスタンプを押してくれることがあります。
ただ、これは税関員の判断次第ということで絶対ではありませんが、試す価値は十分にあります。

オーストリアでの180日間滞在について

シェンゲン協定加盟国に90日滞在してからオーストリアに入国した場合、オーストリアには90日間滞在できますが、この場合は注意が必要です。

帰国のためにどこかのシェンゲン協定国経由の飛行機に乗るのは避けましょう。

何故なら90日を越した状態でシェンゲン協定国に入れば、それはオーバーステイと見なされるからです。乗り継ぎとは言え入国は入国。この場合は、例えばイギリスを経由する場合ならOKです。イギリスはシェンゲン協定に加盟していないからです。

もちろんシェンゲン協定とは全く関係の無いトルコやアジアの経由でもOKです。